【Elixxirの概要】暗号通貨の生みの親 David Chaumの新しいブロックチェーンとは
2018年9月末にシンガポールでConsensusというイベントがありました。
そこで突如公開されて話題になっているのが、Elixxir(エリクサー)というプロジェクトです。
話題になっている理由は、プロジェクトを率いるのが、David Chaumだからです。
彼は、Bitcoinが参考にしたと言われるDigiCashやeCashの生み親として知られています。
https://www.chaum.com/
【サマリー】
Elixxirは、既存のブロックチェーンの課題を解決するチェーンです。それでいてプライバシーが保たれます。支払いに重点が置かれています。
ユーザの視点から利点をまとめると
となります。
ノードの参加者が増えれば、スケールできるパフォーマンスも理論上比例して伸びるというアーキテクチャになっています。そして秒間に数万トランザクションを処理するというのが彼らが予想している値です。
ノードは、トークンのステーク(デポジット)することにより、ちゃんと仕事をする動機づけがされ、スループットを最大化させると同時にセキュリティは担保します。
また支払い時にはデジタル署名でなく、hashベースのownershipを使う仕組みが使われます。
【アーキテクチャ概要】
・匿名性
Mix Networkを元にしています。Mix Networkとは1981年にDavid Chaum氏自らが以下の論文で考案しているネットワークです。https://www.freehaven.net/anonbib/cache/chaum-mix.pdf 1
何かというと、通信経路を決めるためのルーティングプロトコルで、通信の発信元、通信の内容、通信の宛先の関係をなくすため(わからなくするため)に暗号を使っています。
これで匿名性のあるブロックチェーンを作っています。
・コンセンサス
Elixxirでは、ノードのうちの一部がブロックを生成するノードとして選ばれます。選ばれたノードたちは「チーム」になって、協力してブロックを生成します。このチームは一時的なもので、ブロック生成が終わったら、チームは解散します。
画像で説明すると、資格になっているのがノードで、青色になっているのがチームに選ばれたノードです。
以下のような動画だとより分かりやすいと思います。このように異なるノードがランダムに選ばれてチームになります。
このチームは、以降の章で説明するコンセンサスプロトコルを使って、一連の処理を検証および決定します。
一連の処理とは、暗号化されたメッセージを匿名化し、復号化される前にすべてのメッセージを処理していいよねと独自に判断し、最終的に、暗号化されたメッセージ(トランザクションを含む)を復号します(暗号を解除します)。
それが終わって、解散し、また次にランダムに選ばれるまで待機します。
以下の画像の四角のところがノードの処理で、双方向からのメッセージ(トランザクション)を処理し、匿名にします。
■Precomputation:(Preという接頭語は「先」や「前」という意味がある通り、事前に計算をしておくという意味です。)
これは速度上げるために考えられた手法です。
「チーム内のノードたちが、ブロックを生成するために、どのような処理をすべきか」というテンプレートをこの事前計算で定義します。そして事前に行うことで、メッセージ・トランザクション情報が届く前にテンプレートが出来上がります。
これにより、ユーザの視点からすれば、トランザクションを作ったときには、ブロックに格納し、それを確定するのみなので、数秒で送金が完了します。
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