The Coffee Times

シゴト・英語・テクノロジー・人生の楽しみ方を発信してます

法定通貨 vs 暗号通貨 (コスト面)

Bitcoinは最近、最高値(いわゆるAll Time High=ATH)を更新し続け、Ethereumも既存ビジネスの仕組みをDisruptしようと日々存在感を増し続けています。

 

暗号通貨は、Iot時代には欠かせないし、個人のクリエイティブにお金をもたらすものと思っています。そこでコストについて考察しているブログ記事の意訳をしました。

クリプトのコストを見るために、まず既存のお金のシステムとそのコストについて知る必要があります。これからトランザクションのコストと、インフレーションのコストの2つの観点から、既存のお金と暗号通貨(フィアットとクリプト)を比べていきましょう。

 

トランザクションコスト

2015年においてキャッシュの使用は、2.35兆USドル(日本円にして235兆円)なのに対し、小切手や、クレジット/デビットカードACH transferは、178兆ドル(日本円にして1.78京円)でした。それらをまとめたのが以下の図です。(画像:Federal reserve

f:id:CoffeeTimes:20171111203950p:plain

 

トランザクションの数はクレジットカードなどのノンキャッシュが圧倒的ですが、価値に換算すると一番小さいのがわかります。まずお金のコストを話すために、クレジットカードの支払いについて見ていきます。どのように動作し、コストがどうなっているのか見てみましょう。

 

クレジットカード

トランザクションごとに、クレジットカード会社に2-3%のコストがかかると言われていて、クリプトはそれを変えると言われてますが、実際この2-3%はどこにいっているのでしょうか。

一般的にクレジットカードを使うと、5つの登場人物(役割)がでてきます。

f:id:CoffeeTimes:20171111204445p:plain

画像

 

Consumer、Merchant、Issuer、Acquirer、Switchの5つです。

このConsumerは物やサービスを購入する人で、それを提供するのがMerchant(お店とか)です。

そしてそのトランザクションを、Issuer、Acquirer、Switchが手助けします。

Issuerはクレジットカード会社・銀行のことで、Consumerはそれらの会社からクレジットカードを受け取ります。

Acquirerは、店などがクレジットカード受付するために使う機関(加盟店契約会社)で、StripeやSquare、Paypalなどがあります。日本ではIssuerがその役割を兼ねていることも少なくないそうです。

そして最後にSwitchですが、これはVisaやMastercardなどのIssuerやAcquirerと共同してトランザクションを完了させる役割があります。

ここでSwitchは仲介者の役割を果たし、「Consumer / Issuer」と、「Merchant / Acquirer」をつなぎます。

これによって、「クレジットカード利用者」と、「それを受け付けるお店」の2者間に関係性がなくてもトランザクションができるようになります。(むしろ、スイッチ(VisaやMastercar)をそれぞれが信頼する必要があります。)

ここで一般的なコストは一体何で、手数料はどこへ支払われるでしょうか。

 

f:id:CoffeeTimes:20171111205126p:plain

 

Consumer(自分らのようなカード利用者)が何かのサービスのためにMerchant(お店)に100ドル支払ったとします。

するとお店は、2%の手数料と$0.24のトランザクションチャージを支払う必要があります。そしてお店には$97.76が手元に残ります。

この$2.24は、Issuer(カード会社)、Acquirer(加盟店契約会社)、そしてSwitch(Visaやマスターカード)に山分けされます。上の写真の様な感じです。

トランザクション手数料の大半が、IssuerやAcquirerによって保持され、だいたい0.1%だけがVisaやMastercardなどのSwitchのもとへいっているのが分かります。

クレジットカード会社(Issuer)に払われた手数料(ここでいうと$1.80)は、詐欺防止などのためにも使われますが(~$0.12)、大半は、広告などのあまり価値の高いとは言えない付加価値サービスに使われます。また詐欺のコストや支払い取り消しのコストなどの追加のコストも、Merchantが支払います。(~$0.29)

 

 

Automated Clearing House(小口決済システム)

ACHと言われる小口決済システムの支払いは、235億回ほどのトランザクション数ですが、145兆ドルもの価値になります。ACH支払いは、電子上でお金をやり取りする方法として、これまでは最も効率的と言われています。

平均のコストは$0.27で、プロセスに2-3日の営業日がかかります。

さらに、ここで面白いのは、平均$6,193ドルが送金のためロックされているため、ACHトランザクションの価値およびコストは、思っているよりも高いということです。

もしお金の時間的価値が年5%だとして、3日間ロックされているとした場合、平均コストはトランザクションあたり$1.69にもなります。

(時間的価値とは、同じお金でも今日のお金のほうが、明日のお金よりも価値があるよいう考え方。その理由や解説はこちらのブログが参考になります。

平均のコスト($0.27)と、時間によって失うコスト($1.69)を足すと、ACHのコストは$1.96といえます。

 

Bitcoin

次はクリプトを代表してビットコインを見てみましょう。コストはいくらでしょうか。Bitcointicker.coからとってきたチャートが下にあり、あるブロックナンバーで承認されるためのトランザクションあたりのコストを示しています。シンプルなビットコイントランザクションのサイズは250byteほどなので、トランザクションコストは約0.000625BTC(~$4.5)くらいといえます。

f:id:CoffeeTimes:20171111210108p:plain

参考:Bitcoin Network Statistics

 

Ethereum

それではEthereumはどうでしょうか。Ethereumのネットワークは、より速くトランザクションを実行できるため、コストはビットコインよりも低くなります。現在は2ブロックの承認のコストは、1gwei($0.007)あたりと言えます。

 

f:id:CoffeeTimes:20171111210143p:plain

参考:ETH Gas Station | Consumer oriented metrics for the Ethereum gas market

 

 

トランザクションコストのまとめ

これまでの金融サービスではリアルタイムの送金方法はありませんでした。クレジットカードは数秒で記録されますが、トランザクションが承認・終了までは数日必要です。

一番はやい方法であるwire transferも24時間ほどでできますが、上にあげたものよりもコストが高いやり方になります。さらにクリプトは仲介者がいません。

 

f:id:CoffeeTimes:20171111210341p:plain

画像

 

ビットコインは、小切手よりも優れているけれど、ACH(お金の時間的価値ふくみ)よりは少しコストが高くなっています。しかし、ACHで送金するお金が大きい場合は、Bitcoinのほうがコスト的に優れているといえます。さらに、ビットコインは、$200以上の支払いのときは、クレジットカードよりも安くすむ方法といえます。

Ethereumはさらに安い方法かつ速い送金手段です。ビットコインほどは流動性は今はありませんが、今後流動性がさらに高くなり、より便利になると想像しています。

 

インフレコスト

その他のコストとして、インフレーションのコストを考えてみましょう。

お金の供給が増えてインフレすることによって、お金の価値が下がるという内在的なコストがあります。以下は、USドル、ビットコインイーサリアムの「インフレレート」

を示すグラフです。

 

f:id:CoffeeTimes:20171111210509p:plain

画像

 

現在、USドルのインフレレードは2.0%、Bitcoinが4.0%、Ethereumが7.8%となっています。ビットコインのマネタリーポリシー(政府でいうところの金融政策)はプロトコルとして決まっています。(供給量・時期がきまっている)

したがって、21Mのビットコインがマイニングされるまでの将来のインフレレートが分かります。これを見ると、ビットコインは2020年の6月には、1.7%までレートが落ち、USドルの過去最高3.2%と随分レートの幅が出ることになるとわかります。

Ethereumのマネタリーポリシーは、コミュニティのコンセンサスによって少し不明確ですが、Proof-of-stakeの移行あとは、インフレレート0.5%を目指すそうです。

従って、今日では、USドルがインフレコストにおいては勝っていますが、2.5年後にはビットコインもEhtereumも、USドルよりもインフレレートが低くなり、ホールドもしくは使用のコストが安くなると言えます。

 

最後に

この分析では、2つのコスト(トランザクションコスト・インフレコスト)について見ていますが、その他にも、詐欺や将来の価値、ボラティリティといったコストがあります。

ここでの結論としては、ビットコインやEthereumはこれまでの手法よりもトランザクションコストが安いということです。そしてUSドルは現在、2%と最も低いインフレレートで高いときでも3.2%でしたが、クリプトは将来それらよりもずっとインフレレートが低くなります。

2年以内に、トランザクションコストもインフレコストも、クリプトのほうが有利になるので、盛り上がってはきたクリプトですが、実はまだこれからなのです。