The Coffee Times

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Basic Attention Token(BAT)とBraveの仕組みを見る

Coinbaseが取扱を検討していて、話題のBATですが、「Brave社にデータを渡すことによりBATがもらえる新しいブラウザ!」とかいうweb3.0の思想をわかっていない見当外れな記事を多く目にしましたので、少しここで書いていきます。

チームについて

サンフランシスコに拠点を置くプロジェクトです。ブラウザのFireFoxや、プログラミング言語Javascriptの生みの親であるBrendan Eich氏がチームを率いています。

2017年5月にICOを実施し、35億円を30秒で調達しました。このICO参加するためにEthereumの手数料(Gas)を$6,600(約70万円)に設定しているトランザクションあったほど競争状態となり、参加を試みた10,000トランザクションのうちわずか185トランザクションだけが購入に成功したという競争率でした。

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チームの解決したい課題

Whitepaperではこの部分が分厚く書かれていますが、要点を整理して書くと、インターネット広告が複雑で非効率であるということです。 

インターネット広告はざっくり以下の3つの人物が登場します。

  • 広告を出稿して宣伝をしたい広告主(何でもいいですが、例えば広告を出したいスポーツショップ
  • 広告を自社のwebサイトやブログに掲載する掲載者(例えばブロガー)
  • その広告を見る一般のユーザ(ブラウザを使う普通の人)

しかしそれらの間に多くの"仲介者"がいて、恐ろしく複雑になっています。例えばユーザのデータを収集、トラッキングをするようなツールもそれに当たりますが、これは同時にユーザのプライバシーもとられていることを意味します。

 

 

この複雑かつ個人情報が好きなように使われるという状況には、多くの弊害があり、

例えばモバイル広告では、

  • 月に$23分のデータ料金が余計にかかっている
  • ページ読み込みが広告のせいで遅い
  • 21%も早いバッテリー寿命になっている

という欠点があります。

そのため今は60億ものモバイルやデスクトップが、広告をブロックするソフトウェアを使っていて、この割合は上がり続けています。

その結果、広告を掲載して収益を得る掲載者はどんどん広告収入が下がり、過去10年で66%下がったというデータもあるとホワイトペーパー内で言われています。

つまり、
・掲載者は、広告がマッチしないので収益は下がり、
・ユーザは、データを侵食され、セキュリティとプライバシーを脅威にさらされ、遅いダウンロード、モバイルデータによる月額料金の増加、自分とは関係の薄い広告に惑わされ、
・広告を出す広告主は、広告により適切なユーザに宣伝が出来ない

と、すべての登場人物がうまくいかなくなってきていると課題感を定義しています。

(BATを追っていると、最近では特にFacebookの個人情報データ濫用がよく批判されている背景もあり、プライバシーを守る時代になっているという主張を良くみかけます。)

この課題に対する解決策が、彼らの開発する:

  1. Braveブラウザ
  2. ブロックチェーン上のトークン(BAT)

の組み合わせ、ということになります。

では具体的に見てみましょう。

アプローチ:Braveブラウザ と BATトーク

【概要】
Braveブラウザはすでに使うことができます。従来のブラウザと比べてブラウジングが速く、オープンソースで、プライバシーに特化したブラウザです。
サードパーティの広告や、トラッキングソフトをブロックします。

またBraveブラウザは、ブラウザ内でユーザの挙動を機械学習し、ユーザについて把握します。もしユーザが、広告を見ても良いと設定すると、ユーザ情報を元に、相関性の高い広告が掲載されます。ユーザは広告を表示させるかわりに報酬をもらうことができます。このとき、報酬として使われるのがBATです。

報酬の額ですが、Braveブラウザは、ユーザの「アテンション(関心・注目)」を計測し、それに応じて掲載者(webサイトなど)とBraveを使うユーザに報酬が渡されます。

Braveではこの「アテンション」を、「広告を何秒間みたか?」という数値で表現しています。

「ユーザのアテンション(関心、注目)は、価値があるのに、これまで適切に値段付けされてなかった、たくさんの量の情報がネット上で生成される一方で、アテンションは限りがあり、貴重である」とホワイトペーパー内で主張しています。

まとめると、以下の図のように広告主がお金を出して広告を出します。基本的にはすべての広告をブロックしますが、ユーザはBATをもらえるなら広告をONにしても良い、と設定すると、関連性のある広告が表示され、それを見た秒数などによって、広告掲載者(ブログやwebサイト)にもBATがもらえます。元手は左したの広告主の広告予算になります。

 

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詳細の部分や、アテンションの算出方法は、TokenLabで書いています。