LuxTagについて ーNEM関連の有望プロジェクトは、活躍の場を広げることができるかー
先日日本でNEMのMeet-upが行われた。自分にとってオフラインの集まりはほぼ初めてであり、(3年前にいった六本木のPinkcowの東京Bitcoin会議以来かなw)会話をする中で、日本の界隈の状態について気づきや面白い発見が多かった。例えば新しい人がどんどん入ってきていて、Bitcoinすら持ったことがない人がCOMSAのICOに参加しようと思ってる人いる、などである。
自分は当日はLuxTagについて少し触れたが、文章にまとめたかったのと、当日話わすれたことも少しあるので、短文でまとめることにした。
LuxTagとは
物理的なモノ、特に高級品の ”存在” およびその ”所持者” が誰であるかを証明するサービスである。ブロシュア(ピッチイベントとかにおいてあるパンフレットのこと)には「Proof of Ownership & Genuinity using Blockchain Technology」と書いてあるがまさにその通りである。つまり、改ざんできないというブロックチェーンの特徴を使い、高級品が本物であること、そして誰が所持しているのか、という情報をLuxTagで参照できるようになる。
このプロジェクトを遡ると、2016年11月のイベントあたりから始まったようである。
http://www.paymentconference.asia/
会社の拠点はCyberjaya マレーシアにあり、NEMのプロジェクトとして生まれたが、法人化もされLinkedinにも情報がのっている。
NEMのプロジェクトの中でもっともアクティブなプロジェクトと言える。NEM.io Foundationの公式ページでも、NEMのプロジェクトとしてリストされている。
プロジェクト一覧: https://nem.io/community/projects/
ちなみに他にはAppostilleやNEM PAYなどがある。と書いているうちに更新があり、数が倍増している。(自分が普段たすけてもらっている友人のなむやんさんのNEM Faucetも載った!)
特徴
存在証明のProof of Exsitenceというコンセプトは、FactomとEverledgerをはじめ2012年から流行りだした。それらはメッセージによる存在証明であったが、LuxTagのホームページによると、We are different と強調されている。違う点は、ブロックチェーン上のアカウントをつくり、製品と紐付けるという点だ。それにより譲渡や分割も可能である。A→Bへの譲渡の際は、Bをマルチシグ権限追加し、譲渡元Aの権限削除し実現されるのだろう。権限の委任、譲渡にフォーカスし設計がされているNEMだからこその機能である。
またパブリックチェーンとプライベートチェーンの使い分けも可能だ。製造業など顧客の情報や製品のデータを外部に晒したくない場合は、プライベートチェーンでの実装できる。もちろんmijinだろう。
そして彼らのサービスは現在特許出願中となっている。
なぜやるのか
さてなぜ彼らはこのようなサービスを提供するのだろうか。これは、高級品を調べるとわかることだが、意外と証明書はなかったり、あったとしても証明書が偽物であったりするらしい。また高級品は盗まれたり、それを不当に二次流通市場で取引されたりという問題がある。そういった問題を解決するためのサービスだ。消費者はブランドをより信頼でき、企業はビッグデータを得ることができ、市場からもフェイク商品が排除される。
ビジネスモデル
彼らのブロシュアとプレゼンを見る限り、クライアント企業のモバイルアプリやWebアプリにLuxTagのプロダクトを埋め込む、もしくは作ってあげるようだ。特にクライアント企業に何か新しいことをしてもらう必要はない。
The use of the LuxTag system generally does not require additional operational workloads for our clients. We encourage embedding the system into a mobile app & environment which is either already deployed - or one we will support to create
-LuxTag brochure より-
そしてその実装にかかったお金を仕事量に応じて請求するというモデルであり、テイラーメイドのため金額は異なる。また実装後のメンテナンスも請け負っており、いわゆるサブスクリプションモデルでも収益を得る構造だ。
さらにすでに市場に流通している製品についてもLuxTagシステムを適応できるらしい。やり方はまったくわからないが、そう記されている。
画像:
クライアント企業のメリット(時計メーカー等)
LuxTagと提携する企業のメリットとして自社商材を本物を証明でき、消費者の信頼を勝ち取れるというメリットの他に、ビッグデータを入手できるというメリットもある。修理の周期や特定のモデルに対してどのくらいの頻度または期間で手放されてしまうのか、というデータがとれる。個人的な感想だが、それに対するリテンション活動(解約や売却を防止するための活動)はどの程度効果的だったか、というさらなる1次データを取得できる。また車や、デバイスなど用途は広く、テイラーメイドに対応すると謳っている。
プレゼンス(活躍度合い)
冒頭、NEMのプロジェクトの中でもっともアクティブなプロジェクト、と自分が言った理由を説明するため、例をとりあげる。主にマレーシアで公のピッチイベントに参加しており、代表的なのが以下の hakernoonだ。
また、すでに終わってしまったが、マレーシアの大学で行われたTED Talkにも出ていたようだ。これにはNEMのVPのJeff氏がスピーカーとして登壇したようだ(彼とは以前メッセージでよくやり取りをしたが、すっかり有名人になり、多忙のあまり返信が中々こなくなった)。
資金調達にも成功している。これはNEMの基金に応募してコミュニティ投票の結果、集めた資金であり、約650kドル(7000万円)相当と言われている。
また日本の経産省のプログラムに参加するため、きたる9月28日~10月6日にチームが来日するらしい。「調達したお金で日本トリップ!」だったら笑えたのだが、どうやらそうではなく省庁の公式なプログラムらしい。(※調達したお金でトリップは、界隈の人しかわからないネタである)
経産省のプログラム: https://nemflash.io/luxtag-visits-japan-paid-japanese-government/
この9日間では、ワークショップやSoftbankなどの大企業訪問、CEATECへの参加などが含まれる。
CEATECを見に行こうと思うので、S11ブースを見に行くつもりだ。
クリプト圏外の既存ビジネスが使えるサービスを提供することは、界隈にとっては非常に大切である。LuxTagはスペインの時計メーカーとパイロットプロジェクトを始めるようだが、そういった試みは界隈を勇気づけている。(meetupではスペインではなくスイスと間違えて言っていましたので、訂正します。)今後も活躍の場を、クリプト圏外へ、そして世界へ広げていってほしい。
ご一読ありがとうございました。