The Coffee Times

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NEMユースケースにみる未来| NEMプロジェクトが世の中を変えていく

Bitcoin/Monacoinが高騰し、特にMonacoinはものすごい勢いをコミュニティ共に見せてくれているところではあるが、NEMもこれからということで、今回は進行中のプロジェクト(一部完了して実用できるものも含む)を紹介していく。

BLOCK-CON 2017などに参加し多忙なJeff氏から珍しく返信があり、少し話すことができた。LA行きたかったなぁ。)

NEMそのもの機能や思想は、前回こちらに書いたので、まだ読んでない方はぜひご一読頂きたい。

NEMの2つの特徴 | そしてそのブロックチェーンは、世の中を変えていけるか #NEM(XEM) - The Coffee Times

 ここで書いた、簡単という特徴のおかげで以下のプロジェクトが片手間でも進んでいる。

 

PacNEM

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トークナイズドされたゲームである。一人の開発者が平日夜と週末に作っているようだ。

ゲーム内ではNEMモザイクのトークンを使う。その用途はゲームを開始するためであるが、ゲーム内でのパフォーマンスが良いとさらにトークンがもらえて、友達にも上げることができる。(前回記事でいうところのTransferableなトークンである)

 

また「今日の1番高いスコア賞」など、何かしらの特典としてもらえる称号トークンも出て来るようだ。(それはNon transferableにして人には渡せない設計になるのだろう)

・pacnemのブログ:https://blog.nem.io/pacnem/

 

Game into Blockchainは個人的に面白いと思っていて、さらにVRを掛け合わせると色々なユースケースが思いつく。ちなみにNEM関連のゲームは他にもXarcadeというのがあり、なかなか味のあるゲームだが、地味に期待を寄せている。

 

 

Woo Commerce XEM payment

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Webサイトで一番使われているワードプレスに組み込むことでXEM決済に対応できるようになる。ECサイトのみならず、個人がブログで何かを発信していくときに大きな役割を果たす。

 

NEMp3

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ミュージシャン兼エンジニアな人が創ったNEMp3。上で述べた個人の情報発信をブロックチェーンと仮想通貨で実現している。ユーザ情報はすべてNEMチェーン上で暗号化される。XEMで彼の音楽を買ってダウンロードできる。ちなみにRubyを使って書かれているが、GET http requestができるかぎりどの言語でもOKで、RESTful APIのよいところだ。

 

LuxTag

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高級品の証明書をブロックチェーン上に創るサービスでUpdatable, Transferableなのが売りだ。こちらについては以前詳しくまとめたので、ぜひぜひ読んで頂きたい。

LuxTagについて ーNEM関連の有望プロジェクトは、活躍の場を広げることができるかー - The Coffee Times

 

NEMid

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BitIDのNEM版だ。アプリやWebサイトにログイン認証する際にNEMネットワーク使うもので、表示されるQRコードにNEMウォレットで読み取れば認証完了となる。

BitIDを使ったサイトを見ればイメージが掴めるだろう。

  

ioNEM

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NEMidと同じ開発者が作っている。Appostilleで証明書とIotデバイスを紐付け、その証明書に所有者だけが、Iotデバイスを操作できるということらしい。

例えば私がコーヒーメーカーの証明書をもっていたら、コーヒーメーカーのOn/Offは私だけが操作できるという具合だ。現状のIotデバイスでは鍵などが想起されるのだが、本格的なIot・AI化が進んだ場合は、多くの機械が自ら仕事をするようになるため、Proof-of-exsistanceが果たす意味は大きい気がしている。

IoNEMのGitlab:https://gitlab.com/nikhiljha/ionem

 

LAND STEAD

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市民にIDとなるトークンをつくり、所有物・財産を管理・譲渡できるというもの。アセット、プロパティの情報をブロックチェーン上にのせて運用する良い例で、トレストさんの記事がよくまとまっている。

トレンドストリーム:http://www.cryptostream.jp/nem-landstead-4308/

 

 

NEM Authenticator

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2FAの認証ができる Decentralized 2 Factorである。Google Authenticatorなどと同じようにスマートフォンにダウンロードして使うイメージ。例えばデスクトップPCでトランザクション作ったときに、このアプリがポップアップしてきて「本当に送りますか?」という感じ聞いてくる。そうすることで、なりすましが自分の意図しないトランザクションを作ったとしても、食い止めることができる。 

  

NEM krs

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NEM Key Recovery Service略であり、プライベートキーの復元を方法を模索する。プライベートキーをなくす、忘れるというのは深刻な問題でありつつも頻繁に起きている。クリプト界隈全体の課題である。パスワードを忘れても教えてくれるような、中央集権世界に慣れているからだ。先日「デジタル・ゴールド」を読んだが、やはりBitcoinが誕生してからこれまで、一貫してこの問題に頭を悩ませてきたことがわかる。(この本はおすすめで、実話だが物語として面白く、Bitcoinの歴史がわかる) 

 

ペットの名前は、母親の名前は、などたくさんの質問に答えたらwebhookを取得でき、そのwebhookを使ってプライベートキーを取り戻すというものらしい。

画像:NEMkrs Github

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NEM MicroWallet 

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Crome extentionの上に作られたウォレット。NEMネットワークが複数レイヤーであるからできることだ。

 

NEM Pay

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XEMを含むモザイクのためのモバイルアプリのウォレット。Android, iOSどちらもIonic Viewなどで使えるが非エンジニアではまだ使えない。しかし個人的には期待していて、これがあればトークンが簡単に使えるようになる。(現状はNanoWallet一択である)

オープンソースなので、mosaicで何かアプリケーションを作りたい場合は編集し応用できる。

 

XEM sign

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分散型署名コントラクトである。マルチシグのトランザクションに署名をしてくれるクライアントである。このクライアントにより、ペンディングされたトランザクションを、予め定めたルールにもとづき署名してくれる。

セキュリティにはマルチシグが欠かせないが、毎回それを署名すると非常に大変な場合、この条件なら署名する!と予め設定し、それに則って署名をすることができるものである。 

例えば、少額のXEMを配るFaucetを作ったとして、訪問者がその蛇口をひねったとしよう。するとXEM Signのクライアントが

・今日、何XEM配ったか

・あとどのくらいXEMが残ってるか

などを見て条件をクリアした場合にのみ自動で署名し、トランザクションを作るということが可能になる。その他に、アカウントのブラックリストホワイトリストを決めてフィルターできたり、1日、1週間でいくらまで、などconfig fileに細かな設定をしてあげることができる。分散型署名コントラクトを使えばできることは広がりそうである。

 

ここ1年でNEM関連サービスはどんどん形になってきた。これからもさらなる躍進を期待し、私も楽しんで頑張って行こうと思う。

 

 

投げ銭は泣いて喜びます.

BTC : 19MnRNP7PEbkkGdL3LqdyuYHaPyj7xA7Eh

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XEM : NDSKVY-BT4T6R-AGR6DV-PFOWX6-73UIMB-TGWFJD-6NBG

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NEMの2つの特徴 | そしてそのブロックチェーンは、世の中を変えていけるか #NEM(XEM)

 NEMの良い点にフォーカスし単純にして書こうと思ったのが動機である。最近では知名度があがり、さらに日本では熱心なコミュニティのおかげで、加熱と思えるほどの盛り上がりを見せている。しかし未だに価格に対する情報が先行し、創り出そうとしている未来や、それを可能とする技術と思想について書かれることがあまりに少ない。

そこで基礎的な情報から、2017年10月時点で新しい情報についても書いてみたので、お時間のある際に読んで頂きたい。

 

さて端的にいうと、NEMの良さ・特徴とは、ブロックチェーンインフラとして、

1)セキュア、2)簡単という点である。

 

(前提として、NEMはゼロから100%新しいコードで書かれている。既存プロジェクトのフォークではない。NEMが生まれる前、一般的にブロックチェーン上での実装は難しいものであり、ブロックチェーンはどうあるべきかを3人のCore developersたちは考えた結果、ゼロからコードを書き始めることに決めた。それゆえ今日では他のブロックチェーンとは一線画す利点を持っている。もちろん開発者たちが優秀だからでもある。)

 

セキュア

NEMはセキュリティが優れていると一般的に言われている。価値のインターネットと称され、インターネットの上に資産情報が載る仮想通貨では、セキュリティの重要性はいくら強調してもしすぎることはないだろう。

NEMでは、EigenTrust++というノードの重要性の決めるためのアルゴリズムを採用しており、ネットワークのセキュリティを強くしている。さらに局部的スパム防止の手法を用いており、ネットワークの処理能力が限界になったときに、スパムを試みるノードのみをシャットダウンさせることができる。これらは他の暗号通貨にはないNEM独自の特徴だと言える。

さらにNEMは2層構造の設計がされているため、ウォレットを使いたいとき、ノードやブロックチェーンのコピー・同期を必要としない。ノードに接続しさえすれば、すべての機能をセキュアに使うことができる。

 

さらに2016年6月のTheDAO事件以来、「全てのスマートコントラクトはブロックチェーン上に置かれるべきではない」という思想に自信をもっているようである。

Ethereumではスマートコントラクトを自分自身ですべて書かないといけないし、それは開発者でないとできない、しかも正しくスマートコントラクトをプログラムとして書くことは非常に難しいことだ。

(それでもEthereumはものすごい発明だし、批判しているわけではない。Ethereumもものすごい数のEIP(改善提案)が議論されていて今後よりよくなっていくはずだし、多用途で柔軟性の観点で言えば間違いなくNEMを凌ぐ。)

Nem.ioVPを務めるJeff氏も、「Ethereumは大好きで将来性もあり素晴らしいが、扱いが難しいため、テストや成長に時間を要すると思う。一方NEMはもう準備ができていて実用フェーズにある」と言う。

 

それではそんなセキュアなノードたちを構築するインセンティブは何かと疑問に思う人もいるかもしれないが、そのインセンティブこそSuper nodeプログラムだ。帯域等の基準を満たした "良いノード" に対し、毎日報酬が支払われる。この資金はnem発足当初にSN用としてリザーブされていた。
将来このスーパーノードの報酬源が尽きた時はどうするのか?という議論は現在もされていて、財団から新たに支払われるとか、その頃には取引量が多く取引手数料でまかなえるだろう、など、いくつかの案が出されている。
(ちなみにこのスーパーノードを代行で行う "マスターノードバンク"というサービスも出ている。
https://www.masternodebank.com/)

 

またこれは参考であるが、ある調査結果がセキュリティの堅牢性を示した。

画像:

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これは中国の非営利団体サイバーセキュリティセンタ:China Certの調査である。

この調査では赤色が深刻な問題、青色が問題を示しているが、NEMは注目に値する結果を出している。赤色はなく、青色の問題も他のプロジェクトと比べて少ない。毎1000行のコードのうちバグは0.28とトップクラスを誇る。

もちろんこの調査がすべてのプロジェクトを対象としているわけでなく、これが結論を言うには早すぎるが、高い堅牢性を証明する1つの例である。実際に(今のところ)致命的な問題で障害を起こしたことはない。

この理由はCore Developersたちがテストを頻繁に行っているからだと彼らは言う。モバイルウォレットはwebサイト上でSoonと表記されてから1年ほどの年月が経ってやっとリリースされるほど長引くこともあるが、その分時間をかけてテストしている。だから出したものは安定している。

 

簡単さ

これがNEMの特徴としては大きい。つまりDeveloperのための環境として簡単に扱うことができる。そしてそれを実現可能にしているのは、APIである。APIがあるプロジェクトは、ない場合とくらべて開発が楽になる。(まだAPIが親切でなく解析に時間がかかるという声やバグもあるという声もあるが)

開発者がわざわざ新しいコンピュータ言語を学ぶ必要も、スマートコントラクト書く必要もない。デベロッパーとしての最低限のレベルであれば触れる状態になっている。

これを裏付けるストーリーとしてよく海外のMeetupJeff氏が話すエピソードがある。

 

韓国で開発者コンファレンスを行った。1時間の間、nemとは何かを話し、APIの使い方を伝えた。

その後、あるタスクを課した。「nemアカウントとtwitterアカウントをリンクさせてnano wallet内にモジュールとしてアプリを建てる」という課題で、うまくいった人にはbounty(報奨金)をあげるというものだ。

すると、ある開発者から次の日の朝、成果物が届いた。彼は徹夜して1日でやってのけたのだ。

さらに彼はNEMをそれまで聞いたこともなければ、ブロックチェーンでの開発経験も何もなかった。それでも完全に暗号技術・NEMブロックチェーンを使ったものが出来上がった。

 

この開発の容易さは、他のブロックチェーンのそれとは大きく異なっていて、NEMがメインストリームでのブロックチェーン活用を目指すという思想がわかる。

だからこそ、この記事で紹介している、いくつものプロジェクトが立ち上がっている。そしてそれらの開発者は片手間に、仕事の合間や週末に開発していることがほとんどであるという。

その進行中のプロジェクトの前に、nemの標準機能として提供されているものも紹介するが、操作者ユーザにとっても簡単に操作でき、基本クリックで実現する。

 

 

nano walletで提供される標準機能 

 

スマートアセット(モザイク)

NEMでは普通の人が、簡単にトークンを作れる。自分の通貨、例えば " CoffeeTimesコイン " を作ることができる。NEMの場合これらトークンをMosaic(モザイク)と呼ぶ。クリックするだけで、基軸通貨XEMと性能の変わらないモザイクを作れるのだ。(XEMもモザイクの1種である)

簡単に作れることに加えて、その拡張性も高く、かつ簡単に設定ができる。 

 

モザイク特徴1.転送可用性の有無(Transferable/ Non transferable)

画像:

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作り出したモザイクは、誰にでもどのアドレスにでも流通されるようになる。上の画像でいうとBillがBillcoinを作り、それが誰にでも送ることができる。

しかしすべてそうする必要はない。例えばエストニアが電子市民権e-Residency

の申請ができるようになったが、その証明としてのトークン、パスポートとしてのトークンなどを作った場合、流通されては困る。そこで、「トークン作った人にだけ送り返すことができる」とか「誰にも送ることはできない」などの設定ができるのだ。

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また期限付きの権利をモザイクで与えたとして、期限がきたらeipireトークンを送りつければ良い。そのアカウントをブロックチェーンで確認すればそれがわかるからである。これで様々な権利を電子化・トークン化したり、二次流通市場を整備したりといったことが可能になると考えられる。

 

モザイク特徴2.徴収(levy

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さらにlevy(日本語で徴収するの意)の機能がある。このモザイクが送信された際に、手数料とは別に、モザイクの発行者に税金が自動的に送られる機能だ。

例えばCoffeeTimesコインを作って、それが流通すると、その取引の際に毎回税としてXEMが作成者に少量まわされる。つまり、流通するトークンを作った場合それだけで税収が入ることを意味する。

※勝手に送られてきて、要らないから何処かに送ると気がつかないうちに税がとられる、という類のスパムも発生しうる。

 

マルチシグ

NEMは権利の委譲に強みを持つ。例えば、アカウントAさんBさんCさんでチームをつくりICOを実施することにする。ICOで金がいっぱい集まった場合、誰が管理するかという問題が発生する。NEMでは、ICOアカウントを用意しそこに資金を集める。そしてそのICOアカウントのマルチシグネチャは3人すべてが鍵を持ち、「3人がOKしたら出金ができる」、とか「3人のうちABOKしたら」とか、「3人のうちBCOKしたら」など柔軟に編集ができる。

また会社などは人の入れ替わりが常だが、マルチシグの権利を持った人がぬけても、新しい人に鍵を譲渡できる。そしてそれもクリックのみで完結する容易さである。takanobuさんのこちらの記事にマルチシグのユースケースが書かれていて面白い。

 

Apostille

所有権が移転可能な、証明書発行ツールである。これも驚くほど簡単に使用することができる。ドキュメントを本物と証明する場合に有効であり、本物かどうかに加えて、アップデート・所持者の情報をブロックチェーンにおいて監査も譲渡もできる。最近では、COMSAのプレセールした証明として、Apostilleされた証明書が参加者に配られている。またつい最近でApostilleされたファイルをシェアできるツールがコミュニティ有志から出来上がり公開された。

 

 

Aggregate Transaction (複合トランザクション)とアトミックスワップ

次期基盤技術であるCatapult Coreで標準装備される機能うちの1つがこれだ。

同技術を使う予定のCOMSAのホワイトペーパーから説明を引用する。

 

複合トランザクションとは、基本的には複数のトランザクションを一つのセットとしてとりまとめて、該当する当事者のマルチシグが完結した場合に、その全てを「同時」に決済できる機能であ る。注目すべきは、これらはマルチシグによって表記順に実行されるのではなく、最終結果の残高 が有効である限りは「アトミック・スワップ」として「全て同時」に実行される点である。言い換えれば、それはCatapultコアでネイティブにサポートされる、複数当事者間のワンタイム・スマー ト・コントラクトである。これは、APIコールによってコントラクトを執行し、長期的且つ反復的な使用を前提にデザインされる複雑なスマート・コントラクトを書くリスクと重責を払拭するという全くを以て新しい考え方である。更には、ワンタイム・スマート・コントラクトは有効な残高ありきで執行可能か不可能かをデザインするものである。したがって、それは長期的な利用が前提にもかかわらず間違って書かれてしまったスマート・コントラクトに比較して、反復的な攻撃に対しての耐性が高く、損失リスクを最小限に抑える事が可能である。

 

 

 

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具体的なテストの画像だが、ここには3つのトランズアクション、誰が誰に送ったという情報がある。これらをまとめて1つのトランズアクションで処理をするというわけだ。先日、BTCLTCでのアトミックスワップに成功したという盛り上がったが、それを標準装備で実現する。

これまで暗号通貨の取引は、自分が誰かに送金するというPush型であった。それが要求するPull型のトランズアクション始めることができるようになる。

(もちろん勝手に人の資産を「ちょうだい」といって貰えるわけではない。要求をうけた人には通知がいき、その人の秘密鍵で署名が得られれば取引が開始される。例えば、「おれがxxコインほしいんだけど、そのかわりyyコインをこれだけ送る」って通知がきて、受けた人が了承し、署名をすれば、成立。無視すれば、それに関連するトランズアクションはすべて破棄、となる。)

 

この機能が実現する一つの例として、ネットワーク手数料支払いの委任が可能になると言われている。例えば、CoffeeTimesコイン(CT)を作ったとする。それが使えるコーヒー屋も作ったとする。私は友達に5CTをあげる。(1CT= 100円としよう)

友達はコーヒーショップで1 CT使ってコーヒーを飲みたいが、いざ使おうとしたときに使えない。それはネットワークの手数料として支払わなければいけない少額のXEMがないからだ。

ここで従来であれば、BTCを買い、BTCXEMを交換し、XEMをウォレットに移し...という作業が必要になる。しかしこれはあまりにも実用性・現実性にかける。

ここで複合トランザクションを使うと解決できる。友達は、もらった5 CTのうち、少量のXEMに相当する0.2CTを送り、私から1XEMもらうトランズアクションを作り、そのXEMをコーヒーを買うトランズアクションの手数料とする。

つまり実質的にCTさえあれば、取引ができるようになる。これはNEMnano walletに入っているchangellyなどの取引所がネイティブにサポートするのかは不明だが、作ったトークンが自由に使えるようになる未来を見て設計がされている。Catapultは18ヶ月開発を続けているが、COMSAホワイトペーパーにはこうあり、間もなく登場する予定だ。

この新機能は、まずCataputバージョンのmijinプライベートブロックチェーン製品で公開され、2018年にはNEMのパブリックブロックチェーンにも導入される予定である。

以上、大変長くなったが、NEMの良さであるセキュア・そして簡単という点から、今できる機能そして近い将来に実装される機能に触れた。

 

またこちらに、NEMのユースケース・プロジェクトを書いて解説したので、ぜひ読んで頂きたい。

NEMユースケースにみる未来| NEMプロジェクトが世の中を変えていく - The Coffee Times

 

投げ銭は泣いて喜びます..

BTC : 19MnRNP7PEbkkGdL3LqdyuYHaPyj7xA7Eh

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XEM : NDSKVY-BT4T6R-AGR6DV-PFOWX6-73UIMB-TGWFJD-6NBG)

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LuxTagについて ーNEM関連の有望プロジェクトは、活躍の場を広げることができるかー

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先日日本でNEMのMeet-upが行われた。自分にとってオフラインの集まりはほぼ初めてであり、(3年前にいった六本木のPinkcowの東京Bitcoin会議以来かなw)会話をする中で、日本の界隈の状態について気づきや面白い発見が多かった。例えば新しい人がどんどん入ってきていて、Bitcoinすら持ったことがない人がCOMSAのICOに参加しようと思ってる人いる、などである。

自分は当日はLuxTagについて少し触れたが、文章にまとめたかったのと、当日話わすれたことも少しあるので、短文でまとめることにした。

 

LuxTagとは

物理的なモノ、特に高級品の ”存在” およびその ”所持者” が誰であるかを証明するサービスである。ブロシュア(ピッチイベントとかにおいてあるパンフレットのこと)には「Proof of Ownership & Genuinity using Blockchain Technology」と書いてあるがまさにその通りである。つまり、改ざんできないというブロックチェーンの特徴を使い、高級品が本物であること、そして誰が所持しているのか、という情報をLuxTagで参照できるようになる。

このプロジェクトを遡ると、2016年11月のイベントあたりから始まったようである。

http://www.paymentconference.asia/

会社の拠点はCyberjaya マレーシアにあり、NEMのプロジェクトとして生まれたが、法人化もされLinkedinにも情報がのっている。

NEMのプロジェクトの中でもっともアクティブなプロジェクトと言える。NEM.io Foundationの公式ページでも、NEMのプロジェクトとしてリストされている。

プロジェクト一覧: https://nem.io/community/projects/

ちなみに他にはAppostilleやNEM PAYなどがある。と書いているうちに更新があり、数が倍増している。(自分が普段たすけてもらっている友人のなむやんさんのNEM Faucetも載った!)

 

特徴

存在証明のProof of Exsitenceというコンセプトは、FactomとEverledgerをはじめ2012年から流行りだした。それらはメッセージによる存在証明であったが、LuxTagのホームページによると、We are different と強調されている。違う点は、ブロックチェーン上のアカウントをつくり、製品と紐付けるという点だ。それにより譲渡や分割も可能である。A→Bへの譲渡の際は、Bをマルチシグ権限追加し、譲渡元Aの権限削除し実現されるのだろう。権限の委任、譲渡にフォーカスし設計がされているNEMだからこその機能である。

またパブリックチェーンとプライベートチェーンの使い分けも可能だ。製造業など顧客の情報や製品のデータを外部に晒したくない場合は、プライベートチェーンでの実装できる。もちろんmijinだろう。

そして彼らのサービスは現在特許出願中となっている。

 

なぜやるのか

さてなぜ彼らはこのようなサービスを提供するのだろうか。これは、高級品を調べるとわかることだが、意外と証明書はなかったり、あったとしても証明書が偽物であったりするらしい。また高級品は盗まれたり、それを不当に二次流通市場で取引されたりという問題がある。そういった問題を解決するためのサービスだ。消費者はブランドをより信頼でき、企業はビッグデータを得ることができ、市場からもフェイク商品が排除される。

 

ビジネスモデル

彼らのブロシュアとプレゼンを見る限り、クライアント企業のモバイルアプリやWebアプリにLuxTagのプロダクトを埋め込む、もしくは作ってあげるようだ。特にクライアント企業に何か新しいことをしてもらう必要はない。

  The use of the LuxTag system generally does not require additional operational workloads for our clients. We encourage embedding the system into a mobile app & environment which is either already deployed - or one we will support to create

 -LuxTag brochure より-

 

そしてその実装にかかったお金を仕事量に応じて請求するというモデルであり、テイラーメイドのため金額は異なる。また実装後のメンテナンスも請け負っており、いわゆるサブスクリプションモデルでも収益を得る構造だ。

さらにすでに市場に流通している製品についてもLuxTagシステムを適応できるらしい。やり方はまったくわからないが、そう記されている。

画像:

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クライアント企業のメリット(時計メーカー等)

LuxTagと提携する企業のメリットとして自社商材を本物を証明でき、消費者の信頼を勝ち取れるというメリットの他に、ビッグデータを入手できるというメリットもある。修理の周期や特定のモデルに対してどのくらいの頻度または期間で手放されてしまうのか、というデータがとれる。個人的な感想だが、それに対するリテンション活動(解約や売却を防止するための活動)はどの程度効果的だったか、というさらなる1次データを取得できる。また車や、デバイスなど用途は広く、テイラーメイドに対応すると謳っている。

 

プレゼンス(活躍度合い)

冒頭、NEMのプロジェクトの中でもっともアクティブなプロジェクト、と自分が言った理由を説明するため、例をとりあげる。主にマレーシアで公のピッチイベントに参加しており、代表的なのが以下の hakernoonだ。

https://hackernoon.com/luxtag-powered-by-nem-blockchain-presents-at-premier-regional-blockchain-event-bloktex-2017-366285614423

 

また、すでに終わってしまったが、マレーシアの大学で行われたTED Talkにも出ていたようだ。これにはNEMのVPのJeff氏がスピーカーとして登壇したようだ(彼とは以前メッセージでよくやり取りをしたが、すっかり有名人になり、多忙のあまり返信が中々こなくなった)。

資金調達にも成功している。これはNEMの基金に応募してコミュニティ投票の結果、集めた資金であり、約650kドル(7000万円)相当と言われている。

https://www.econotimes.com/Blockchain-certification-solution-LuxTag-raises-650k-from-NEM-Startup-Funding-Programme-896546

 

また日本の経産省のプログラムに参加するため、きたる9月28日~10月6日にチームが来日するらしい。「調達したお金で日本トリップ!」だったら笑えたのだが、どうやらそうではなく省庁の公式なプログラムらしい。(※調達したお金でトリップは、界隈の人しかわからないネタである)

経産省のプログラム: https://nemflash.io/luxtag-visits-japan-paid-japanese-government/

 

この9日間では、ワークショップやSoftbankなどの大企業訪問、CEATECへの参加などが含まれる。

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CEATECを見に行こうと思うので、S11ブースを見に行くつもりだ。

クリプト圏外の既存ビジネスが使えるサービスを提供することは、界隈にとっては非常に大切である。LuxTagはスペインの時計メーカーとパイロットプロジェクトを始めるようだが、そういった試みは界隈を勇気づけている。(meetupではスペインではなくスイスと間違えて言っていましたので、訂正します。)今後も活躍の場を、クリプト圏外へ、そして世界へ広げていってほしい。

 

ご一読ありがとうございました。