The Coffee Times

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海外出張・赴任時に必須な本:「異文化理解力」

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ビジネスで英語を必要とするには、この「異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養 」で書かれている教養が必要と思います。

 

私もTOEICは900を超えていますが、そんな役に立つかわからないテストの指標よりも必要なことだと感じました。

 

成毛眞氏が「日本人の9割に英語はいらないで述べているように、9割の日本人に英語はいらないというのは同意しますが、残りの1割に人には是非読んで頂きたいと思います。

あまりに良かったので、紹介させて頂きます。ご覧の通り、Amazonでも非常に良い評価となっています。

 

著者は、フランスとシンガポールに拠点を置くビジネススクールMBA学位のための経営修士大学院)のINSEADで教授を努めるエリン・メイヤーという女性です。

ここで論ぜられる異文化とその理解が、「海外で働く人、外国人と働く人」には、英語よりもマナーよりも大切なことだということが、数々の実例(多くはビジネスシーンにおける)を交えて体感することができます。

 詳しくは本書を読んでいただくとして、ここでは一例を紹介します。括弧内が引用になります。

 

ナイジェリアの銀行で重役を務めるアシダさんは、ドイツ人とナイジェリア人のチームを率いています。

アシダさんはこう不満をもらします。

「ドイツ人たちは、ナイジェリアでは物事が常に変わっていくことを理解していない。三ヶ月後のミーティングの予定を今日たてられないのは、この先何が変わるかわからないからだ。私はナイジェリアのイスラム教地区の出身だが、そこでは最高指導者が月を見て「今日から祝日だ」と言うまで、いつ祝日になるかわからない。いつ祝日になるかわからないのに、二ヶ月と七日先に自分が電話を取れるかどうかなんてわかるわけないだろう? ドイツの同僚たちはそのことを理解していないんだ。彼らは何週間も前から私が6月二十四日の火曜日に開いているかどうかを聞きがる。ーそしてその日が近づいて予定がダメになると、彼らは怒り出す。」と。

 

この小さな例からわかるように、異文化間でスケジュールを組むことだけでも難しいのです。これらを知らないと狼狽し、大切なビジネスチャンスを逃すことに繋がります。

反対に、これを前持って理解し、もしくは参照し心得ているだけで、大きな武器にもなりうると思います。上の例はあくまで、スケジュール上の価値観の話ですが、この他に本書では、以下のバロメータにおける文化間の違いを爽快に伝えてくれます。

・コミュニケーション(直接的か・間接的か)

・評価(ネガティブな評価を直接的に伝えるか・間接的に伝えるか)

・説得(原理を重んじるか・実例を重んじるか)

・リード(平等主義か・階層主義か)

・決断(合意志向か・トップダウン型か)

・信頼(タスクベースか・関係ベースか)

・見解の相違(対立を好むか・対立を回避するか)

 

これらを国ごとの相対的に比べることができる「カルチャーマップ」が乗っているため、すべて読みきらなくても、辞書代わりにし、海外に行く前に、目的地のカルチャーを参考にするという使い方をするだけでも、本代以上のリターンを得られるはずです。 

 

 

・金魚は水を意識しない

さらに私が本書で感じたことは、文化間の違いどころか、自国の文化についても、日常生活では意識することできないのです。金魚が泳いでいるときに水の中にいることを意識しないように、普段の生活では当たり前すぎて分からないのです。異国の文化に触れたとき初めて、自国の文化を自覚することができるのです。

留学した人が「行った国のことより、日本のことを考えるようになった。相対的に見るようになった。」と語るのはこのためです。私もアメリカのUCLAのサマースクールに行った際にこれを感じました。

計画をたてずにその場で決断し課題を進めていく中国人に対し、その文化を感じながらも、日本人は準備をし合意形成をよく取るのだな、と「日本人であること」を振り返ったり、

ネガティブ・フィードバックの直接的に「あなたのアイディアは直すべきだよ」と伝えてくるドイツ人に対し、日本人は対立回避のために間接的に伝えるな、と感じた記憶があります。

本書で、この意識ができるため、これから留学する人・旅行する人にとっても面白いと思います。

  

・日本のルーツを遡る

違いがなぜ起きるかをかんがえると、各文化にはそれが醸成され得るだけの出来事や、歴史を持っていることがわかります。日本は、この本においては、間接的な伝え方をする(あくまで多くの国との比較においてですが)意思決定は、合意を重視するなどの特徴がありますが、これは長い歴史と、鎖国時代の密な藩関係で形成されたと考えられます。

何かというと、夷人(外国人)との交流を絶ち、移民もおらず、藩という同じコミュニティで、関係を気づいていくうちに、直接的な伝え方をしなくても伝わるようになっていったわけです。

またそこでの関係性・身分のようなものを優先順位の1番目に据えるになり、その名残がビジネス上の振る舞い方にも影響していると考えます。

一方でアメリカに関しては、異文化が混ざってできた国であり、人種のMelting-potと言われるほど、多様な人たちから、国としてスタートしています。そのようなコミュニティでは、思ったことをはっきり伝える、ストレートな言い回しで誤解を生まないようにする、ということに重きが置かれ文明が発達し、現在の文化を作っているはずです。

ルーツと現在の文化間の差異を認知する力・予備知識を持っている人が増えれば、競争力が高まるだけでなく、無駄な争いをも少なくすると思うのです。